【エピソード7】2本目のビンテージウォッチはオメガ スピードマスター ST105.003

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OMEGA SPEEDMASTER  ST105.003 ED WHITE

お金持ちじゃなくとも思わず勢いで買ってしまうなんてことは誰でも経験があると思う。上野と御徒町の間の地域はアメ横と呼ばれていて多くの商店が並んでいる。古くからのカメラ屋は中古の腕時計を取り扱っていたりするのだが、中野のジャックロードや新宿のGMTなどが有名だろうか。カメラと眼鏡と腕時計は親密性があるのだろう。アメ横にはシュウコウやキクヤ、それと今回突然の出会いがあったミズタニカメラがある。

2004年だったか2005年だったか覚えてないが、何気なく歩いていたアメ横で無造作に腕時計が並んでいるショーケースの前で足が止まった。ミズタニカメラはあまり大きなショップではないが非常にリーズナブルな価格で腕時計を売っている店だ。そこに酷くエイジングした1本のスピードマスタープロフェッショナルを見つけた、78,000円の値札を付けている。当時だとスピードマスタープロフェッショナル(3570-50や3590-50)の中古は12~15万円くらいが相場だっただろうか、ブレスレットが付いてなさそうだが安いので手に取りたくなった。ガラス戸を押し中へ入り男性の店員さんに声を掛ける。手渡されたオメガの外装部は本当にボロボロで文字盤に光は無く、時計を知らない人なら「落ちていても拾わない」様な状態だったが、ビンテージウォッチに興味があった私には宝物に見えた。ブレスレットも欠損しておりキャンバス生地の厚手のストラップが付いていたが、この値段なら誰も文句は言わないだろう。ただ、スピードマスタープロフェッショナルだと思って見せてもらったのだが、文字盤にはプロフェッショナルの文字は無かった。あまりスピードマスターに詳しくなかったため、それが第3世代のスピードマスターとはわからずに、エイジングした状態が好みだったので取り敢えず購入した。ボロボロ過ぎたとしてもメーカーである程度はなんとかなるだろうと期待して。店員さん(おそらく店主だと思う)の説明で「オーバーホール済みだ」「321で、中はキレイだ」と言われたが、321が何なのかは分からなかった。

1959年に誕生した第3世代のスピードマスター”エドホワイト”ST 105.003。Pre-Moonと呼ばれ、まだ月に行く前のモデルで文字盤にはプロフェッショナルの文字がない・・・なんてことはグリーンアローグラフィティ「オメガ スピードマスター マスターブック」で学んだ。

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上の画像は、購入後スピードマスターをインターネットで調べるうちに辿り着いたスピードマスターファンなら誰もが知っているサイト「WELCOME To スピードマスター」の人気コーナー「集え!スピマス野郎たち」に参加させて頂いた時の画像だ。とんでもない状態なのがわかるだろうか?今ならトロピカルなどと言われそうな色の褪せた文字盤には、夜光が崩れたインデックスと夜光が落ちた針が目に飛び込む。コンディションをアルファベットで表すならDかEだろう。

コンディションが良ければこんな表情だ。その頃オメガの修理の受付は上野にあったと思うのだが、やや凹んだベゼルだけでも新しいものに交換できないか問い合わせたのだが断られた。パーツが無いとのことだったと記憶しているが、本当にそんな対応をされたのか自分の記憶が怪しく思う。

ナビタイマーの時にも言ったが、いくらムーブメントが見たくても素人が何の勉強もせずに開けるのは止めておこう。私はゴムボールでねじり開けた(スクリューバック専用のゴムボールだ)が再び防水性は失われた。その代わりと言っては何だが、オーバーホールしたてのキレイなキャリバー321を見ることが出来た。その時初めて「ムーブメントは美しい」という事を知る。78,000円で購入した割に、大変満足だった(外観は別として)、いや78,000円で買ったから満足を得れたのかも知れない。革ベルトを変えたり、古いオメガのブレスレットを購入したりもしたが、あまり着用はしなかった。見た目がアレだったからね。

順番で言えば5番目の腕時計となるが、ほとんど見るだけだったのが今思えば残念だ。メーカーの話をきちんと聞いたのか反省している。少しでもキレイに出来ていれば手放すことも無かっただろう。だが、当時の私は見た目が全てだった。気に入らない点が見えてくると、だんだん手放したくなってくるのだ。案の定ほとんど着けずに私の元を離れていった。違った角度で愛でてみたり、パーツを購入して自分好みにしたりと、色々方法はあったと思うのだが、若い私にはそんな心のゆとりは無かったのだろう。まぁ、それもすべて経験であり、私の糧になっていると信じたい。ただ、現在も所有していたら火曜日のインスタグラムは映えただろうと思う。

 

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