【エピソード3】初めて下取りを利用しジャガー・ルクルト Q1708470 を購入した

JAEGER LE COULTRE
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JAEGAR-LECOULTRE MASTER COMPRESSOR MEMOBOX 170.84.70(Q1708470)

機械式腕時計の定期点検を兼ねた分解洗浄(オーバーホール)は3年に1度、少なくとも5年に1度は行っておきたいところだ。10年~50年と使い続けたいなら適度にリフレッシュさせる必要がある。もちろんゼンマイが切れずネジが取れないなら分解洗浄をせずとも時計の針は動き続けるが、無理をさせればさせるほど様々な部品が疲れて消耗していくことは容易に想像できる。しかし自動車の車検とは違い義務付けられたものではないので、定期的なチェックを面倒だと考える無精者も多くいて、買ってから1度もメンテナンスに出したことが無い腕時計オーナーもいるのではないだろうか。更には無料ではない。かく言う私も1998年に購入したエアキングを6年近く経っても分解洗浄していなかったのだ。

どうしてメンテナンスを怠っていたかと言えば、2002年に購入したエクスプローラーIIの使用頻度がグっと上がり、エアキングの出番はほぼほぼ無くなっていたのだ。エクスプローラーIIを買ったばかりの頃は交互に着けてはいたのだが、しばらくすると私はまだ若く34mmのシンプルで目立つことの無い時計より、40mmの逞しいスポーツウォッチの方が格好良いと思うようになっていた。誰だって若いうちはそうだろう?なんて言うわけじゃないけれど、新しい方をよく使うなんて普通のことだ。

そして頭によぎる、エアキングを売って違う時計を買ってみるのはどうだろうか?と。1998年に一生モノとして買ったエアキングだったけれど、わずか6年で手放すなんて発想が浮かぶとは・・・。

2004年東京に帰ってきていた私は、雑誌に掲載されていたジャガールクルトの新機構 マスターコンプレッサーシリーズに心奪われたため、エアキングを売って買うと言う考えが浮かんだ訳だが、皆さんはマスターコンプレッサーシリーズをご存知だろうか?ジャガールクルトのイメージはレベルソがまず最初にきて、その次にマスタースリムだろうか。マスタースリムやマスターコンプレッサーの「マスター」は1000時間もの精度テストをルクルト独自に行うマスターコントロールテストからきている。耐久性や防水性も含まれており、相当な自信をもって世に送り出したのが「マスター」を冠するシリーズであり、コンプレッサーシリーズは防水性をも強化していること示している。コンプレッサーシリーズのデザインは当時のジャガールクルトファンからして見たら異様な形状だった。ムーブメント会社のイメージがあり、やや渋めで派手ではないデザインを採用することが多かったルクルトが、何を思ったのか2002年からマーケットに放り込んできたコンプレッサーシリーズだが、その答えはリシュモングループ傘下となった新しい時代の象徴なのだろう。私はカルティエのデザインが好きなのだが、リシュモン傘下になった時計メーカーにはいつもデザイン上の疑問をもつ。そのことについてはここでは語らない。そんなマスターコンプレッサーシリーズから、「音が鳴る」メモボックスに私は心を奪われた。機械式の腕時計から音が鳴るなんて、なんて凄いんだろう、どんな音なんだろう?誰がこの機能を使うんだろう?時計好きならきっとワクワクするに違いない。そしてコンプレッサーを実現する大きなケースと飛び出したリューズ、インパクトあるデザイン、そこにメモボックス(アラーム)機能が追加されたこのモデルを雑誌で見て欲しくて欲しくて堪らなくなったのだ。雑誌の後半部分には中古ショップの商品が掲載されていて、およそ半値になっている個体に出会ってしまったからには決断しなくてはいけない。

買うと言う決断と、手放すと言う決断だ。

何度も訪れたことのある渋谷も、時計を買うと決めて行く日はまた違った街に見える。そんなことを思いながら、宝石広場へと向かう。腕時計好きならば誰もが知っている時計専門店である宝石広場には無数の商品が並べられていて、時計ファンのアミューズメントパークとも言えるだろう。出入り口にそっと置いてある冊子(カタログ)は時計ファンのバイブルだったに違いない。毎年毎年カタログ欲しさに店舗を訪れるファンもいたのではないだろうか?中野ブロードウェイにはかめ吉とジャックロードがあり、渋谷にはここ宝石広場、銀座にはエバンスと並行品や中古品を買うのであれば1度は見に行くべきショップである。さて、雑誌を片手にスタッフに声を掛けた。残念なことに雑誌に掲載されていた商品は売却済みだと言う。それはそうか、雑誌に掲載するまで何日も経過しているのだ、雑誌販売と共にショーケースに並べるわけではない。がっかりした私の顔を見たからではないと思うが、チェックのシャツを着た洒落たスタッフは「予約されますか?」と声を掛けてくれた。中古品が予約ができるという事をここで初めて知ったが、驚いたふりは見せずに下取りについて聞いてみることにした。手元には248,000円で買ったエアキングと、238,000円で買ったエクスプローラーIIがあり、およそ80万円はする国内定価のマスターコンプレッサーメモボックスの雑誌に掲載されていた価格は398,000円だった。ただし私の時計は使い古した状態でエアキングに至ってはメンテンスをせずに6年経過している。時計を見せずに話だけだったか、その2本ならメモボックスと行って来い(トントン)か、逆にお釣りが来るのではないか?と嬉しい評価を貰った。追い金なしで高級時計のメモボックスが手に入るのかと、私は嬉しくなり予約をすることにした。一生モノと決意した6年前の私の気持ちは、こんなにも簡単に覆るのだ。

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待つこと1週間、宝石広場から連絡が来た。お待たせしましたと。驚いた、ジャガールクルトの中古品なんてそう簡単に見つかるものではないと思っていたのに僅か1週間で実際見ることができるのだ。初めて見るマスターコンプレッサーメモボックスはとても存在感のある愛らしい時計だった。中古だから状態を見てから決めてくれと、そう言われていたが実際に手に取り腕に乗せると連れて帰るしか選択肢は無かった。またしても購入から日の浅い中古だったが、なぜ定価で買ってこんなに早く半値以下で手放すのだろう。商品自体に文句は無かったが、問題は下取りだ。実は先日行って来いと行ってくれたスタッフは販売専門の方で、買取査定は上の階の別のスタッフが行うと言う事だった。販売担当の彼と一緒に上の階へと行き、いきさつを説明してくれた。買取査定担当の彼が付けてくれた値段は、6年使ったエアキング14000が170,000円、2年使ったエクスプローラーII 16570が210,000円だった。販売担当の彼が言ってた通り、行って来いじゃないか、と思って計算したが合わせて380,000円なので、18,000円足りなかった。

因みに下取りとは代わりに何かを買う足しにすることで、買取とは何も買わず売ってお終いと言う違いがある。今回はメモボックスを買ったので下取りとなり、買取だけの査定より高額になったのだ。下取りじゃなかったら幾らだったのか聞いた覚えはあるのだけど忘れてしまった。

Jaeger Lecoultre Master Alarm Memovox 170.84.70

借り物動画で申し訳ないが、こちらがマスターコンプレッサーメモボックス 170.84.70(Q1708470)の音色である。どうだろうか?このジリジリと大きな音を鳴らす魅力的な時計を。いったい何のタイミングでこの警告音をかき鳴らす必要があるだろう。実際には何だそれとこの腕時計について聞かれた時に鳴らすだけの機能で、目覚まし時計の代わりにはならない。それでもこの無駄なギミックは時計好きの心を鷲掴みにするのだ。過剰な防水機能も、クロノグラフも、不要ではあるのだが求めずにはいられない。ただ私が知る限りでは誰もこの時計を着けている人を見かけた試しがない。マスターコンプレッサーシリーズも生産終了となり皆の記憶からも消えているような気がするので、ここでこうして書き残すことは意味があると思う。着けやすかったか?と聞かれれば厚みがありケースバックがもっこりしているので、そうではなかったと答えるがデザインは非常にユニークで特別な時計だった。所有する満足度は高く、ロレックスのオーナーではなくなったが、とにかく誇らしかった。ただ、この音が鳴る腕時計も2年ほどで手放すことになるのだが、それはまた今度。

初めて下取りを利用しジャガー・ルクルト Q1708470 を購入した話はこれで終わり。

高級時計は一生モノにはなかなかならない。時計用の資金が潤沢なら、売らずに済むのかも知れないし、他の時計を買う必要が無ければ当然ながら手放す必要も無いのだろう。私の場合、中古購入という体験が、中古を買うハードルを下げ手放すハードルを下げた。このまましばらくは買っては売り買っては売りを繰り返していくことに。飽きやすい性格なんだなと、これは何事にも当てはまる。

今まで買ってきた時計に失敗はない。手放しても通り過ぎていった時計たちは今でも好みである。嫌いだから手放したのではない、その経験が今に繋がっているのだけれど、それで良かったのかはわからない。

 

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