ロレックス 全歴代 ミルガウス 歴史と愛蔵ファイル
ロレックス ミルガウス【ビンテージ ロレックス】耐磁性能に優れた稲妻【完全網羅】
2007年に復活を遂げたロレックスのプロフェッショナル・モデル「ミルガウス」。
耐磁性に優れたこのモデルは、どうして生まれて、どうして消えていったのでしょうか?
今回はファーストモデルから最新モデルのZブルーまで振り返ってみたいと思います。
(Ref.6541 Ref.1019 Ref.17000 Ref.116400)
1956年 ミルガウス・ファーストモデル Ref.6541
1956年頃に誕生した ミルガウスのファーストモデル Ref.6541。
1955年は物理学者のアインシュタイン氏が亡くなられた年です。
その翌年に誕生したミルガウスは、物理学者や医師などに向けたモデルとして位置付けられています。
ミルガウスの名前をほどくと「ミル(mille)」と「ガウス(gauss)」に分かれます。
ミルはフランス語の1000を表し、ガウスは電磁単位を表します。
つまり1000ガウスまで耐えられますよ!この腕時計は、となるのです。
海外ではサンダーボルトや「striking lighting bolt」などと表されます。また、ハニカムダイヤルと呼ばれる幾何学的な文字盤装飾に
1分単位のメモリが施された回転ベゼル。
夜光の乗ったドフィーヌ針、高価なアプライド・ロゴ。37mmの当時では大型なケースは内部の構造から生まれます。
通常より厚手の文字盤と ムーブメントを磁気から守る軟鉄製のインナーケース。
更にインナーケースを抑える裏蓋に施されたクロスバネ。
文字盤とインナーケースでサンドイッチして「磁気」を遮断しているのです。
一般的には医者や高磁放射線技師、物理学者、無線技師などに向けたモデルとされています。
1950年頃と言えば、大戦後の軍備拡大路線の真っただ中です。
戦闘機のコックピットなども磁気が多かったはずですね。
対象はパイロットにも及んでいたのではないでしょうか?
ロレックスが思うようには売れなかったようです。しばらくして、回転ベゼルを取っ払います。試行錯誤している感じですね。プロフェッショナル達は主にサブマリーナやエクスプローラーなどを選んでいたようです。
キャリバー1066Mを搭載した、ポリッシュベゼルのRef.6541。
ムーブメントの末尾「M」のアルファベットは「ミルガウス(MAGNETIC)」のMです。
アンチマグネッティック構造のムーブメントはビスが無くインナーケースで固定されます。
他にもCal.1065MやCal.1080、Cal.1055などのムーブメント・バリエーションがあります。
他のモデルには無い太めのベゼルが特徴的ですね。
※回転ベゼルを止め ターン0グラフから続くターゲットのパイロットは外された感があります。
SIGNED ROLEX, OYSTER PERPETUAL, MILGAUSS, REF. 6541, MOVEMENT NO. DD607882, CASE NO. 412’454, MANUFACTURED IN 1958
なんと保証書つき!
1958年頃の製造で、保証書のスタンプが1966年の1月・・・なかなか売れなかったのですね。2011年5月 クリスティーズのオークションで落札された金額がCHF159,000。
159000スイスフランを当時の日本円に換算すると、14,628,000円(1スイスフラン=92円)ひゃー。
こちらは2015年4月のアンティコルムオークションで落札されたRef.6541。
$ 99,750の落札価格です。
1ドル119円として、11,870,250円!
あまりにも売れなかったためか、数が少なすぎてレア度マシマシ!
1000万円オーバーとは、もはや腕時計ではなく資産ですね。
ミルガウスに限らず投資目的でヴィンテージロレックスを買われる方が多く、
リーマンショックの様なアクシデントが無い限り価値も右肩上がりです。
う~む、実物見る機会が今後あるのだろうか。
たった数年の製造期間に様々なバリエーションのモデルがありますね。
王冠が▽インデックスになっているのもあるんですね。
夜光が乗っているようにも見えますし、ミルガウスの位置も下にあります。
なるほど。
初期のサブマリーナのベゼルのようなメモリなしのモデルや
ベンツ針を使用しているのもあるんですね。
1960年 ミルガウス・セカンドモデル Ref.1019
※1966年との文献もありキャリバー1580へ変更され、38mmのケース、そして外観のデザインも変わりました。
※文字盤の色も黒から、シルバー(白)に変更されています。いや~2世代目で「別物」くらいの変わりようですね。1stでは「特徴」であった稲妻針が 先端が赤い△の秒針に変更されています。
かなり細い秒針ですね。稲妻よりは正確性は上がったと思います。
時分針もドフィーヌ針から、シンプルな太めの針になり、
インデックス、文字盤の装飾も変更されています。
ハニカムダイヤルから縦線のヘアラインになりました。赤いミルガウスの文字は引き継がれています。
50m防水 クロノメーター 耐磁性が謳われています。
ミルガウスの赤いプリントが映えますね。現存する個体数が黒の方が少なく、アンティーク市場では希少性が高いモデルです。Ref.1019 は約30年ほど生産される長寿モデルですが、市場に出回っている個体が少なく
当時の不人気ぶりが伺えます。
※生産終了は1988~1991年とされる。実際「耐磁」性能は必要だったに違いありませんが、ニッチ過ぎたのかも知れません。
ダイヤルの微妙な違いが、レアポイントになっています。
前期のモデルはメモリが細かく300もの(1/5秒)区切りがあるのに対し、後年はざっくりします。
また縦のヘアラインが後年 無くなります。
※黒文字盤にも差異があり、夜光などの違いなどがあります。
1977年 オイスター・クォーツ Ref.17000
「クォーツショック」と「オイルショック」です。
2つの波は腕時計メーカーを飲み込み、消えてしまったブランドもあるほどです。一流メーカーであったロレックスは この機に自社製クォーツ・ムーブメントの開発に乗り出します。
※Ref.1530(オイスターケース50周年記念モデルがオイスタークォーツケースで発表されています)
完成したムーブメントを搭載したモデルが Ref.17000系 オイスタークォーツです。ロレックスのデイトジャストをベースにアレンジされたケースとブレスレットが一体化されたデザイン。
あれ?
どこかで・・・見たことあるような。
さて、このオイスタークォーツ 実は「耐磁性能」が1000エルステッド(1000ガウス)と
ミルガウスと同等のスペックがあります。
時代はクォーツを選んでいくことになります。
1990年頃に ミルガウスは3世代目に移れずに生産終了となりました。
1970年代にはサファイアクリスタルを早々に搭載したオイスタークオーツとは運命を大きく変えてしまいましたね。
耐磁性・防水性が同程度、あとは人気とコスト、メンテナンス性が鍵になったのかと思います。
ロレックスは 敢えて不人気なミルガウスのブラッシュアップを しませんでした。
1988年にはサファイアクリスタル、自動巻きの新型デイトナ(Ref.16520)が誕生しています。
同じタイミングで5桁品番のミルガウスが生まれても不思議ではありませんでしたが残念ですね。
廃盤になってしまうと、欲しくなるのが人の常・・・。
生産量の少なさからも中古相場が30万円程度から90年代半ば・後半には200万円ほどに上がっていきます。
2007年 ミルガウス・サードモデル Ref.116400
突然 生まれ変わったミルガウス。
稲妻針を握りしめ 約20年ぶりに復活します。Ref.116400シリーズは116ケース(40mm)に ノンデイトのクロノメーター・ムーブメントCal.3131を搭載。サファイアクリスタルの5桁モデルになれず廃盤になった無念からか・・・
「GV」と言うロレックス企業カラーのグリーンのサファイアクリスタルと言う新技術を用いた
特別なモデルも誕生しました。
それはセンセーショナルで当時は定価を大きく上回る150万円ほどの販売値をつけた時期もあります。
※当時は限定販売か?などと噂されていました。
2014年の新色です。(ブラック文字盤が生産終了になっています)とても爽やかですね。かっこいい。で・・・考えちゃいますよね?「Z」って何?
ROLEXの公式ホームページには「エレクトリックブルー」と表現されています。
E-Blueですよねぇ・・・。
稲妻の形が「ギザギザ」で「Z」に見えるからだとZENMAIは思います。
※無理やりです
まとめ
と言うタイトルでも良かったかもしれませんね。レントゲン技師や医師などに向けた特殊プロフェッショナルモデル。
コストが掛かりそうな装飾や仕上げなど、メインターゲットにうまくフィットすれば良かったのですが、
残念ながら人気がでなかったミルガウス。
売れなかった為に数が少なくレア・ロレックスになってしまいました。Ref.1019は20年前ならまだ時計ショップに並んでいましたが、今ではもう見ることも限られます。
ロレックスは本当に面白いですね。
<元記事>
http://watch-monster.com/articles/K0lHd
#ZENMAIのココ東京