【エピソード21】ロレックスをやめたら13キロ痩せた

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いつものエピソードだが、腕時計の話のようで、たぶんそうではない。

 

This is not about Rolex.

最初に断っておくが、これはダイエット指南ではない。
そしてもちろん、ロレックスを外せば痩せる、という話でもない。

そんな簡単な話なら、世の腕時計コレクターはとっくに別人になっているはずである。
現実は、まあ、ご存じの通りだ。

 

きっかけは、あまり華やかなものではない。

去年、親族の不幸が続き、久しぶりに喪服を引っ張り出した。
そして気づく。

「これは着る服ではなく、過去の自分の遺産だ」と。

一応、試着はした。留まるはずのボタンが、どうやらこちらの意向を尊重する気はないらしい。
そしてすぐに理解した。これは交渉できる類の問題ではない。

そのままスーツ店に行き、新しい喪服を買うことになった。

サイズだけが正直で、こちらの都合は一切考慮されない。
服というのは、時に残酷なほど合理的である。

実のところ、警告はもっと前から出ていた。

健康診断。メタボリックシンドロームの指導対象。
しかも2年連続だ。

体重73kg、腹囲90cm。

普段細腕オジサンを自称していながら、実は太腹オジサンでもあったのだ。

この手の数字は、腕時計のリファレンス番号のように無機質で、妙に記憶に残る。そして、見ないふりもできる。

2度目の葬儀が終わり、日常に戻る。
体重は75kg。
人生最重量を更新していた。

人は何もしていない時に限って、静かに悪い方向へ進む。
まるで、誰も巻いていない自動巻き時計のように。

気づいたときには、完全に止まってしまう・・・

 

そんなことになる前にスクワットを始めた。

最初は20回。
数字にすると大したことはないが、身体はまったく同意しない。

ただ、人間の身体は高級機械とは違い、放置しても価値が上がることはない。
むしろ確実にスペックダウンする。

7月頃から食事も変えた。

白米をゆで卵に。
週5回のラーメンは週1回へ。

ランチは外食から弁当に切り替えた。
ゆで卵と春雨スープという、ストイックというよりやや退屈な構成である。

だが不思議なことに、ラーメンは週1回の方がうまい。
希少性が価値を決めるのは時計と同じだが、こちらはきちんと体に返ってくる。

体重は落ちた。

1ヶ月で2kg、3kg。
70kgを下回る。

スクワットは100回になった。

努力というより、単なる習慣である。
歯を磨くのと同じで、やらないと気持ちが悪い。

そしてブラックフライデー。

軽い気持ちでスマートウォッチを買った。
約5,500円。

ロレックスのコマ1つより安いかもしれない。

 

これがやたらと優秀だった。

歩数、睡眠、心拍数。
天気、通知、アラーム。

さらにはライト、カメラのシャッター、イヤホン操作。

やっていることはほぼ秘書である。
しかも文句を言わない。

軽く、薄く、常にそこにいる。
見た目については・・・まぁ議論を避けるのが賢明だろう。

気づけば、機械式腕時計を着けなくなっていた。オメガスウォッチさえも巻かなくなる。

やめた、というより離れた、が正しい。

平日は通勤時だけ。
それ以外は机の上。

いわゆるデスクウォッチである。

これはこれで悪くない。目は楽しいし、多少の癒しにはなる。
だが、運動量は1ミリも増えない。

ここで少しだけ整理しておきたい。

これは「腕時計ブログなのに腕時計をはずす話」である。

ロレックスはもちろん資産になる。

時間も教えてくれる。
満足感も与えてくれる。

だが、こちらの体重管理や睡眠不足には無関心である。
歩数にも興味がない。

極めて礼儀正しく、そして徹底的に無干渉だ。

スマートウォッチは違う。

すべてを数字で突きつけてくる。

今日は歩いていない。
昨日は寝ていない。
心拍数が高い。

言い訳は歓迎されない。

人はストーリーよりも、数字に追い詰められる。
そして意外なことに、その方がうまくいく。

今年2月の健康診断。

体重62kg。
腹囲79cm。

13kg減。

数字はシンプルだが、説得力は十分である。

そしてもうひとつの変化。

痩せたことで、学生時代のジーンズが履けるようになった。

結婚してから生活リズムが変わり、体型も変わり、そして履けなくなった長いあいだタンスの奥に眠っていたリーバイスとエビス。

ようやく出番が来たようだ。

新品のデニムにはない、時間の層がある。
自分の体型だけが、ようやく追いついた形だ。

 

誤解のないように言えば、スマートウォッチが痩せさせたわけではない。

きっかけに過ぎない。

だが、その「きっかけ」を毎日腕に巻いていたのは事実である。

そして、もうひとつの事実。

それ以来、他の時計をまったく着けていない。

 

では、スマートウォッチの方が優れているのか?

そういう話でもない。

機械式腕時計は、役に立たない部分に価値がある。
非効率で、説明が難しく、しかし確実に満たされる。

それは、健康管理とは別の領域の話である。

ロレックスはそのままでも価値を保つ。
だが、自分の体は放っておけば確実に目減りする。

どちらを先にケアすべきかは、わりと明白である。

そしてもし、タンスの奥に眠っているデニムがあるならそれは資産ではない。

だが、取り戻せる可能性のある「過去」ではある。

 

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