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「本物の偽物」腕時計業界最大のスキャンダル裁判 ジャン・ピエール・ジャケ

l’horloger Jean-Pierre Jaquet inculpé

「セリタ、65時間パワーリザーブ搭載のSW200-2を発表」なんて記事を読んでいたところ、知らなかった衝撃的なニュースがありましたのでご紹介。

ETAのエボーシュ供給が止まることによりセリタがジェネリック・ムーブメント(SW200シリーズなど)で台頭しました。またシチズン傘下のラ・ジュー・ペレがパワーリザーブ68時間のG100を供給し、このどちらもETA 2824-2と互換性があります。

ここまでは皆さんご存知の通り。

その「ラ・ジュー・ペレ」の前世についてご存知の方はそこまで多くは無いのかも知れません。

 

まず、Chrono24の記事を読んでください。

ジャケ社とジャケ事件(The Jaquet Affair)
最初にはっきり言っておくが、現在のシチズン傘下のラ・ジュー・ペレは、当時のスキャンダルとは一切関係ない。しかし、この会社を深く理解するためには、前身であるジャケ社の歴史に触れる必要がある。会社名は、1980年代にラ・ショー=ド=フォンでアンティーク時計商だったジャン・ピエール・ジャケにちなんで付けられた。彼はすでに当時、その振る舞いだけなく、幾度も法に抵触する行為を行っていたことから、評判があまり良くなかった。また、偽造時計の販売容疑もかけられていたが、当時まだ大きな影響はなかった。クォーツ危機後、複雑な機械式時計に再び注目が集まるにつれ、高品質な仕上げのムーブメントや複雑機構への需要は高まっていった。ムーブメントや複雑機構を専門に扱うというこのニッチな分野において、ジャケはジャケ社を設立し、主にETA社製ムーブメントの組み立てと仕上げを行っていた。2003年、時計の密売と偽造を行う犯罪組織に対する捜査が行われ、ジャケが主要容疑者の一人であるという報道が出た。その「事件」とは、50万スイスフラン相当の金無垢のロレックスが消え、その直後に偽造のデイトナ クロノグラフが出回ったというものだった。これらの時計には、明らかにジャケによって改造されたETA社製ムーブメントが搭載されており、また当時のETAのトップが、ジャケだけがETA社製のムーブメントをロレックス デイトナのデザインに大規模に改造するだけの数量と道具を持っていると断言した。スウォッチの創業者であるニコラス・G・ハイエックは、これを「バチカン銀行に対する枢機卿の襲撃」だと例えた。最終的に、ジャケ、14人の共犯者、その他の関係者は、罰金と長期の禁固刑を言い渡された。この出来事は、「ジャケ事件」として時計業界の歴史に不名誉な形で刻まれ、時計業界で活躍し続けたいと願っていた同社にとって、ジャケの名は永遠に消し去られることとなった。そこで、プロサー・ホールディングが事業を引き継ぐ際、ジャケ社ができるだけ穏便に買収されるよう、ラ・ジュー・ペレという、当たり障りのない無難な名前が選出された。

 

サラっと紹介されていますが、とんでもないことしています。

本物の時計職人が、盗んだ本物のロレックス金無垢ケースにムーブメントを組み込み、市場に流通させていた・・・まさに「本物の偽物」という話です。

え?ヤバっ。

しかし調べるともっとヤバい話でした。

時計職人ジャン・ピエール・ジャケ容疑者が起訴される

2008年9月1日

「失脚した時計師ジャン=ピエール・ジャケが起訴される」

4年以上にわたる捜査の末、ヌーシャテル州の司法当局は、時計の窃盗および偽造に関する大規模事件において、34人を起訴した。被告人の中には、ラ・ショー=ド=フォン出身の時計師ジャン=ピエール・ジャケも含まれている。

捜査は9月の時点で終了しており、76冊のファイルからなる事件記録は、検事総長ピエール・コルニュに送付されたと、捜査判事シルヴィ・ファーヴルが木曜日にAP通信に説明した。これは日刊紙「L’Express」および「L’Impartial」に掲載された情報を確認するものでもある。

あらゆる階層に及ぶ

合計で約30人が、産業経営者から労働者に至るまで、窃盗、盗品隠匿、時計の改ざん、強盗など、さまざまな容疑で起訴されている。問題となっている被害額は数百万フランにのぼる。被告人のうち、約20人が主要捜査の対象となっている。

ジャン=ピエール・ジャケは、旧ジャケ社(旧ジャケ工場)の元社長であり、被告人の一人であると、判事は補足した。この時計師は2003年10月に逮捕され、14か月間、勾留(予防拘禁)されていた。彼の工場は、2003年秋に家宅捜索を受けている。この工場はスウォッチ・グループの一員であったが、元社長の不祥事以降、社名を変更している。

複数の波及・広範な関連

この、強盗事件や金の盗難も含む、多方面に波及する時計偽造事件は、2003年秋、ヌーシャテル州の時計業界に大きな衝撃を与えた。

ル・ロックルのある企業の従業員は、2003年春に窃盗の容疑で逮捕されている。

また、ラ・ショー=ド=フォンにある研磨工場の経営者も、約10キログラムの金を盗まれた事件に関連して拘束された。

とりわけジャン=ピエール・ジャケについては、2002年1月に、ロレックス向けの金製ケースを輸送していた運送業者(護送車)への襲撃を指示した(首謀した)疑いが持たれている。

今後は、検事総長が事件記録を精査し、不起訴処分とするか、あるいはヌーシャテル州司法に送致(起訴維持)するかを判断することになる。

やばくないですか?

「4年以上にわたる捜査の結果、スイス・ヌーシャテル州で発覚した大規模な時計の盗難・偽造事件で、関係者34人が起訴されました。その中には、かつてスウォッチ・グループ傘下の工場を率いていた時計師、ジャン=ピエール・ジャケの名前も含まれています。」って首謀者なんですよ。

事件は単なる内部不正ではなく、工場関係者から経営者まで幅広い人物が関与し、被害総額は数百万スイスフラン規模。さらに驚くべきことに、ロレックス向けの金製ケースを輸送していた車両を襲撃させた疑いまで持たれており、時計業界を大きく揺るがしました。

ジャケ本人は2003年に逮捕され、14か月間の拘留を経験。彼の工場は家宅捜索を受け、その後、社名も「ラ・ジュー・ペレ」に変更されています。最終的には検察が、正式に裁判に進めるかどうかを判断する段階に入った、という流れです。

要するに、「業界の名の知れた時計師が、偽造・盗難だけでなくロレックスの金無垢ケース強奪事件の黒幕疑惑まで浮上し、業界を震撼させたスキャンダル」というわけですね。 ぱっと見、貧弱なおじいちゃんにも見えますけど、かなりアウトロー。強盗窃盗銃撃・・・盗難偽造。

勝手な想像ですけど、職人だったけどベースはギャング気質で、裏社会とつながり時計業界でも顔が利くようになり、せっかく成功してたのにプライドやお金のために立場を利用してやりたい放題だったんでしょうね。映画化できるくらいの内容だと思いましたし、実際にマーケットに出回っちゃった時計たちはどうなったのか?非常に気になります。

はたまた捕まったグループ以外にも同じようなことしてる犯罪組織は他にもありそう。こっちも不安ですね。

本物の金無垢ケースなので見破れなさそう・・・

Wikipediaからも引用しましょう

ジャケは、ミランダ(ロレックスのケース研磨会社?)のマネージャーとユリス・ナルダンの従業員を含む少なくとも12名と協力し、偽造ロレックスを製造した疑いがある。彼は、2002年1月にミランダから金製のロレックスケースを盗んだ事件に関連して、強盗、盗品受領、偽造商品の容疑で逮捕された。

スイスの新聞で「ジャケ事件」および「ユリシーズ事件」と呼ばれたこの逮捕により、2008年にジャケと他の2人が懲役4年6ヶ月の判決を受けました。また、裁判所はジャケに対し75万スイスフラン(64万3940ドル)の賠償金の支払いを命じました。

やはり事実なんですね。

こちらはスイスインフォから

時計製造に関する重大犯罪の裁判が開始

5年前にスイスの時計製造業界を揺るがしたスキャンダルの裁判が、西部の都市ヌーシャテルで始まった。
2008年9月1日

公判中の15人は、金の窃盗、盗品の取扱、時計の偽造、強盗、恐喝の疑いを含む罪に問われている。海外在住の2人は出廷しなかった。

ロレックス、リシュモン、カルティエ、フランク・ミュラーといった大手時計グループが原告となっているこの複雑な訴訟は、5週間続く予定だ。

被告の中には、2002年6月にラ・ショー=ド=フォンとル・ロックルの企業から52kgの金を盗んだ2件の武装強盗事件でも起訴されている者もいる。

このスキャンダルは、時計ムーブメント工場のオーナーであるジャン=ピエール・ジャケが2003年10月に強盗、盗品取引、偽造の容疑で逮捕されたことで発覚した。この事件はスイスの時計業界に大きな衝撃を与えた。

「まるで枢機卿たちが集まってバチカン銀行を強盗するようなものだ」と、スウォッチ・グループのニコラス・G・ハイエック会長は述べた。

 

仲間割れで発覚

容疑者たちは、「フランクミューラー ( Frank Muller ) 」、「ピアジェ ( Piaget ) 」、「ロレックス (Rolex ) 」などの高級時計を盗み、これを販売したという疑いのほか、盗んだ時計の部品を使って時計の偽造をしたという。起訴された窃盗事件のうち2件は強盗事件だった。強盗事件によって盗まれた金数十キロは、溶解され売却されたと見られている。

 2003年、レ・ロクル市の高級時計メーカー「ユリス・ナルダン ( Ulysse Nardin ) 」の従業員による窃盗事件が発生し、また同時期にはラ・ショドフォン市の時計研磨工場の社長が金塊10キログラムを盗むという事件があった。この2つの事件のほか、複数の盗難事件がジャケ容疑者に関係していると見られ、同容疑者は14カ月拘留された。

 事件が表立ったのは犯人グループの仲間割れだった。ジャケ容疑者からの分け前に不満を持ったメンバーの1人が2003年4月、レ・ブレネ市のキャバレーにいたジャケ容疑者に対し電気棍棒などで暴力を振るい、その後、ジャケ社のあるビルに向かって発砲した。この事件に対しては、ジャケ容疑者自身が訴えを起こしていた。

 取調べでは15人の容疑者の証言は大きく食い違っている。

って、52キロの金ってとんでもないな・・・

金を溶かす機械がジャン=ピエール・ジャケの自宅地下にあったとか。

 

まとめ

ジャン=ピエール・ジャケ氏の半生

ルーツと初期

問題と逮捕劇(The Jaquet Affair)

裁判・刑罰

その後の会社と影響

要するにこの事件は、本物の職人が、本物のパーツを使って、本物そっくりではなく「本物の偽物」を作り上げた事件だったというわけです。

もう出所してますね。表社会にも戻れないけど、技術とか裏社会で使って欲しくないな。

息子さんはまっとうに時計のムーブメント会社を経営しているようです。

それにしても、闇が深い。

メーカーの関係者すら手を貸しているという始末。

大丈夫でしょうか。

 

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