カラトラバ パイロット トラベルタイム Ref.5524 と三大ブランドのパイロットウォッチ

Audemars Piguet
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雲上三大ブランドの軍用時計~パテック オーデマ バシュロンのミリタリーウォッチ~

クォーツ腕時計が誕生するまでの1930年代から1960年代の機械式軍用腕時計は様々なメーカーが製造していますが、手作業をモットーとする三大ブランドのパテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、バシュロン・コンスタンタンの名は見当たりません。

軍用規格に合う低コスト大量生産がスイスの名門にはマッチしていなかったこと、またはプライドが許さなかったのかも知れません。

今回はパイロットウォッチに焦点を当て三大メーカーの世界大戦時モデルを見ていこうと思います。

Patek Philippe Calatrava Pilot Travel Time Ref. 5524

The Patek Philippe Calatrav...

The Patek Philippe Calatrava Pilot Travel Time Ref. 5524

昨年2015年の新作として登場したカラトラバ パイロット トラベルタイム Ref.5524。
詳しい詳細は以下のリンクでご確認頂くとして、1930年代の時角腕時計(サイデロメーター)をオマージュして作られたモデルがこのRef.5524なのです。
5524G-001 - ホワイトゴールド - 紳士用 ...

5524G-001 – ホワイトゴールド – 紳士用 – コンプリケーション

技術データ
自動巻ムーブメント
キャリバー 324 S C FUS
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム
出発地と現地の時刻を表示するデュアルタイムゾーン機構
出発地と現地の昼夜を窓表示
現地の日付を指針表示
センターセコンド
ニス塗装ブルー文字盤、夜光付ゴールド植字数字
カーフスキン・バンド、カラーはヴィンテージ・ブラウン、ネジ止めピンバックル
サファイヤクリスタル・バック
6気圧防水
ホワイトゴールド仕様
ケース径:42 mm
パテックフィリップの腕時計の中では異彩を放つデザインと、42mmという大型なケースサイズ。
夜光をふんだんに使用した大きなアラビアインデックスは「ザ・ミリタリー」と言っても過言ではありません。アヴィエーター・ウォッチ(パイロットウォッチ)として、製作したモデルをベースにしているとのことで、パテックフィリップ博物館でも所蔵されている1930年代の腕時計を見てみましょう。
The two hour angle watches ...

The two hour angle watches Patek Philippe made in the 1930s

ビックリするほど5524には似ていませんね・・・。

まぁ、大丈夫です。
このサイデロメーターウォッチ(1936)は2009年5/11のクリスティーズオークションにて
「15. Possibly Unique Aviator Prototype Wristwatch – $1,710,690」
の落札値が付いています。

為替が98円ちょっとの頃ですかね・・・計算できません。

15. Possibly Unique Aviator...

15. Possibly Unique Aviator Prototype Wristwatch – ,710,690

この希少なモデルをベースに、トラベルタイムを作ったのです。

全然似ていませんが、そうなのです。
話題性とか求めていません。
なにせパテック・フィリップですから。

カラトラバ・シリーズなんですね。

1940s Audemars Piguet Chronograph in Stainless Steel & Pink Gold

Talking Watches: With Alfredo Paramico (38817)

オーデマ・ピゲからは1940年代のクロノグラフを。

元々は競馬レースの時間計測からオーダーされたと言われているクロノグラフ。
1915年「腕時計」のクロノグラフがブライトリングより誕生し、航空、軍事目的に使用されます。

しかし、このオーデマ・ピゲのクロノグラフはどうでしょう?
パイロットウォッチでもミリタリーウォッチでもありません。
オーデマ・ピゲのクロノグラフ(1930-1950)の生産数は極めて少なく、出回り自体稀なケースです。

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オーデマ ピゲジュール オーデマグシュタードクラシック...

オーデマ ピゲジュール オーデマグシュタードクラシッククロノグラフリミテッド / Ref.26558TI.OO.D080VE.01

こちらは2012年の新作 グシュタード・クラシック・クロノ。
チタン製41mmの自動巻き2カウンタークロノグラフです。1930年代から40年代のオーデマ・クロノはコンビネーションの物が多く、このクラシカルなクロノグラフもチタンとピンクゴールドが使われています。

ロイヤルオークの登場まではオーデマ・ピゲの腕時計にはミリタリーカラーが似合わないエレガントなモデルが多く、やはり軍用時計を見つけるのは無理でした。

Vacheron Constantin aviation watches are the 1903

V&C aviation watches are th...

V&C aviation watches are the 1903

「V&C aviation watches are the 1903 Wright Brothers Thigh Watch」
ライト兄弟の「太もも」ウォッチと題された時計はヴァシュロン製です。
手では無く足に巻く時計としてライト兄弟用に1903年に製作されたパイロットウォッチ・・・だそうです。ライト兄弟へのオマージュ時計としてはブライトリングやゼニスなんかが有名ですが、実はヴァシュロン・コンスタンタンが担当していたのです・・・かね?

The Hermann Goering Vacheron & Constantin - Vacheron Constantin discussion (38835)

こちらはバシュロンのサイデロメーターでしょうか。
「1936 Aviator’s Degree Watch (Ref. 3615) 」パテックのサイデロメーターと同年の1936年製造とあります。

1920: mono pusher (via crow...

1920: mono pusher (via crown) chronograph

ワンプッシュクロノグラフは1920-1930年頃に製造されました。

こちらはブレゲ数字と針を使用した美しいクロノグラフですね・・・軍用とは言えません。

ヒストリーク 1955 ”Cornes de Vache”

ヒストリーク 1955 ”Cornes de Vache”

こちらは1950年代の2カウンタークロノグラフのオマージュウォッチ。
プラチナ製の限定品です。「”Cornes de Vache”(コルヌドヴァッシュ)」は牛の角だそうで、たしかに特徴的なラグの形状がソレなんですね。

1955 ref 6087

1955 ref 6087

まとめ

PP AD 1944

PP AD 1944

雲上と呼ばれる三大メーカーには「軍用時計」が見当たりませんでした。
上級の将校であれば、使用していた可能性はありますがソレはミリタリーウォッチではありません。大量生産できない三大メーカーの腕時計は戦火に巻き込まれることはなかったのでしょうか?
永世中立国(1815年~)として有名なスイスですが、2回の大戦時にはどうしていたのでしょう。スイス時計としては後発のロレックスは機械化された工場でオイスターケースを使用したミリタリーウォッチを作りました。
オメガやブライトリング、ホイヤーにルクルト、IWCなど現存有名ブランドも同様です。
「商売」の面で見れば大戦ほど魅力的な市場はありません。
また軍の要求は時計の進化・成長も促します。
よりタフに、より正確に、より見やすく。商売では無く、時計は芸術品であるとするスタンス。
技術を磨き、高級素材とレザーストラップ。
紳士・淑女のための嗜好品であり、エレガントであるべき。

そういった古参の時計メーカーとしてのプライドが今につなぐステイタスになっているのは間違いありません。
雲上三大時計メーカーのパテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンは軍事目的の時計は作りません。
技術革新のためにパイロットウォッチは作ります。
誇りと技術と美しさを兼ね備えたタイムピースのみを生み出す、その精神に触れるからこそ人々は「雲のうえ」の存在として認識しているのでしょう。

因みに・・・
最大の需要国であるアメリカはスイス製時計に高い関税を掛けていましたので国産のハミルトンやウォルサムの軍用時計がアメリカ軍に支給されていました。
アメリカ時計の総力により大戦時にはにぎわったアメリカメーカーウォッチ。
アメリカも潤い、時計を求める層も増えました・・・が、兵士・軍人ではない層にはハミルトンなどはフィットしませんでした。
高くともスイス製時計を求めたのです。
アメリカ時計の衰退は皮肉にも国策によって運命を変えられたのかも知れません。

#ZENMAIのココ東京

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